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1981 カセットデッキ [音楽]

テープオーディオといえばオープンリールだったが、これはいかにもおおげさなものだった。テープ自体が大きくて重いのだから、それを二つ動かすデッキはさらに大きく、オープンデッキは20キロも30キロもあった。だから外で生録音するためのデンスケも重くてとても簡単に持ち運べるものではなかった。
ここに世紀の発明コンパクトカセットが登場した。小さなカセットの中にちゃんと2つのリールが入っている。何本も増えてきてもオープンテープの何分の1かのスペースで保管できる。カセットはまたたくまに世界に普及し、オーディオもカセットに移った。カセットそのものが小さいから、デッキもコンパクトになり、チューナーやアンプと同じサイズになり本当のコンポーネントになった。コンポもフルサイズからミニコンポ・マイクロサイズへとどんどん小型化されていった。当時あらゆるオーディオメーカーからカセットデッキが出たが゛、その主流となるものは、オープンとは違いソニーやナカミチであった。オープンの雄であったティアックやアカイもむろん出してはいたが、カセットではやはりソニーのほうが一歩上だった。
しかしカセットの音を本当にオーディオとして聞くに耐えるものにしたのはなんといってもナカミチであり、その音には誰もがどぎもを抜かれた。当時の大卒の初任給が10万ちょっとのころに25万から50万していたデッキの価格もさることながら、カセットを越えた音を聞かせる実力。ナカミチで録音するなら、特にいいテープは必要なかった。
当時のアナログオーディオの最高峰の一つはまちがいなくナカミチ製品だったろう。

それから約30年近くたち、ナカミチもアカイもティアックもかっての栄光はみるかげもない。かってのメーカーでいまだに残っているのはソニーやビクターやパイオニアを別格とすれば、DENONやオンキョー・ケンウッドなど数えるほどしかない。寂しい限りだが、いまはビジュアルも主流であり、音に関する技術の蓄積だけでは生きていけないのだろう。
しかしかっての多くのメーカーの技術競争と開発競争があったからこそ今日のデジタルオーディオが繁栄している。
アナログに賭けた先人たちのスピリットはいまも受け継がれている。
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